OTHER / 2023.01.13
Welpa
「からだの変化とじょうずに付き合うためには?」スペシャルレポート(2/3)
11月21日、心斎橋PARCO 4F「SkiiMaラウンジ」で、スペシャルトークイベント「からだの変化とじょうずに付き合うためには?」が開催されました。
イベントにはゲストに、一児の母であり、モデルやソロアーティストとしても活躍する伊藤千晃さん(タレント/歌手)が登場。
モデレーターにはフェムテックを中心にウェルネス事業を展開するfermata株式会社の中村寛子さん(fermata株式会社 CCO)が。
さらにアドバイザーに、「レディースクリニック サンタクルス ザ シンサイバシ」の吉田昌弘院長も登壇し、医療の専門家として女性の身体の仕組みについてわかりやすく解説。
集まった観客らとともに、女性の悩みや気になる疑問、最新のフェムテックアイテムなどについてトークセッションを行いました。
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TextNaoko Kuroda
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PhotoKazuki Watanabe
中村:続いては成熟期に多い悩み、「妊活・妊娠~出産」についてトークセッションを行いたいと思います。伊藤さんも31歳のときに妊娠、出産を経験されています。妊娠から産後に、身体の変化を実際に感じることはありましたか?
伊藤:思い出すだけでも、ものすごくたくさんの変化がありましたね(笑)。産婦人科の先生にも言われたんですが、ずっとダンスをしていたこともあって、身体の変化にはとても敏感だったんです。妊娠初期には骨盤がミシミシとしているのを感じたりして、こんなにも身体が如実に変化するのかと驚きましたね。お腹のなかで赤ちゃんが大きくなるほど、自分の身体が重くなって浮腫んでしまって。出産直前にはとにかく足が攣ってしまうんですよ。話には聞いていたけど、こんなにも症状が出るのかって。
吉田:足が攣るのを防止するための漢方が出ているくらいですからね。
伊藤:そんな漢方もあるんですか!? 妊娠中に知りたかった~。
中村:産後の身体の変化はいかがでしたか?
伊藤:出産を終えると、直後からお腹が縮むと思っていたんですけど元通りにはならなくって、お腹がぽっこりと出たままの自分にもショックを受けましたね。腰の骨が緩んで歩き方も偏っているような感じもあって、もう少し自分自身に身体の変化についての知識があれば良かったなと思いましたね。
中村:「妊娠を意識して、20代のうちから気を付けていたことなどがあれば教えてください」という質問も届いています。
伊藤:20代は仕事一本で生きていけたらいいと、ガムシャラに夢を追いかけていました。いつか子どもを産むために身体を気遣おうというよりも、身体が壊れてもいいから良いパフォーマンス、良い作品を作ろうと思って日々を過ごしていたんですね。若いからこそ、乗り切れるだけの体力も気力もありましたし。でも、振り返ってみるとガムシャに頑張るのも良いことだけれど、そのつけは年齢を重ねると後から響いてくるんですよね。
中村:自分の身体をきちんと気遣うことも大事なことですね。
伊藤:夢を掴みたい気持ちも大事だけれど、身体があってこそ。バランスが必要ですね。
中村:「生理不順で妊活がうまくいきません。自分でできる改善方法はありますか?」という質問も届いています。
吉田:妊娠のメカニズムは非常に複雑で、妊娠希望で来院された方が色々な検査をしても不妊の原因がよく分からないことはよくあることなんですね。体外受精など、妊娠するための治療法もいくつかありますが、患者さんのなかには「気分を変えて旅行に行ってきます~」と帰ってきたら、「妊娠しました!」という結果も少なくないんです。大らかな気持ちをもって、妊活に挑むことも大事なこと。ほかにも、伊藤さんがダンスをしていたように、基礎体力をつけておくことは出産や妊活においてもすごく有効なことですね。
伊藤:確かに、私も出産時に産婦人科の先生に「よく足が開くね」って褒められました(笑)。ダンスやストレッチをしていたので、股関節が柔らかかったんでしょうね。
中村:「妊娠期間を前向きに楽しく過ごすためのアドバイスをお願いします」というコメントも届いています。
伊藤:生理中の対策でもありましたが、身体を冷やさないことですね。パフォーマンスをするうえでも、身体が冷えるだけでパフォーマンスのレベルが落ちることも実感していましたから。産婦人科の先生には「後から自分の身体が辛くなるからね」と注意を受けていたので、太りすぎないように体重管理を頑張ったり。母親からは「赤ちゃんのためにも食べなきゃダメよ」って言われていたんですけどね。
吉田:妊娠中の体重管理については時代が変わり、「痩せ」が美徳ではなくなってきているんですよ。ある程度の体重増加は良いことだという意見が学会でも発表されています。海外の方は体重が増加しても気にしていないんですよ。日本人はBMIが非常に低く、それによる弊害も起きています。栄養管理はあくまでも妊婦さんがハッピーな気分になれるようにしてほしいですね。診察をしていると、妊婦さんの顔は本当に良い顔をしているんです。その時に我慢を強いるよりも、これからの妊娠期間を楽しく過ごしていただきたい。妊娠は素晴らしいということをお伝えしたいですね。
中村:ほかにも、お客さんからは「高齢出産のリスクについて教えてください」という質問が届いています。
吉田:出産だけが人生の選択肢ではありません。でも、生物学的に言うと年齢が若いうちの出産のほうが安産にも繋がりますし、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などの妊娠合併症のリスクも低くなります。アンチエイジングが進んでいるとはいえ、出産は年齢による影響は大きくなります。あとは流産率の高さ。40代になると2回に1回は流産してしまうんです。妊娠出産を将来的に考えたい場合には、こういった情報を知ったうえで人生設計をしていただくことをお勧めします。