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ART&CULTURE / 2026.05.28

深川麻衣×末永幸歩|世界をひろげるアートのミカタ

深川麻衣×末永幸歩|世界をひろげるアートのミカタ
深川麻衣×末永幸歩|世界をひろげるアートのミカタ
Photograph
Kei Matsuura(QUI/STUDIO UNI)
Styling
Miku Hara
HairMake
Aya Murakami
Text
ぷらいまり。
Art Direction
Kazuaki Hayashi(QUI/STUDIO UNI)
Edit
Seiko Inomata(QUI)
Produce
Shun Okabe(QUI)

アートに正しい鑑賞方法はない。でも、アートをもっと楽しむためのヒントならある。感じたことを自由に表現しながら新しい視点を探る「アウトプット鑑賞」を提唱する、『13歳からのアート思考』(ダイヤモンド社)の著者であり、美術教師でもある末永幸歩さんの鑑賞方法をゲストとともに実践し、いま注目の美術展をめぐる連載企画。
第五回のゲストは、女優の深川麻衣さん。学生時代に美術を学び、普段から美術館を訪問したり、イラストやグッズデザインなども手がける深川さんとともに、作品をじっくり見て、感じたことを書き出し、そこから短い物語を紡ぐ「アウトプット鑑賞」を体験しました

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今回訪れたのは、心斎橋PARCOで開催中の「ART OSAKA in PARCO Re:SPEC — 90sの遺伝子と多層世界」。関西にゆかりのある3名の作家、山田千尋さん、山田紗世さん、中迫梨恵さんの作品が、PARCO館内のさまざまな空間に展示されています。

じっくりと作品を観て 気づいたこと・感じたことを書き出すアウトプット鑑賞

末永さん流の「アウトプット鑑賞」
アウトプット鑑賞は、作品の題名や解説などの「答え」にとらわれず、鑑賞者自身が「感じたこと」に意識を向ける自由な鑑賞。
・気づいたこと(=作品に描かれている事実)を書き出し、そこからどう感じたか(=主観的な意見)を考える
・感じたこと(=主観的な意見)を書き出し、どこからそう思ったか(=作品に描かれている事実)を考える
といった点を意識して、気づいたことや感じたことを書き出していきます。

まずは、14階に展示されている、山田千尋さんの4点の絵が1つになって展示されている作品で「アウトプット鑑賞」を実践。ワークシートに気づいたことを書き出しながら、作品をじっくりと10分間鑑賞します。

山田千尋 左上《green light #2》右上《light room #3》左下《x #3》右下《SPARKS #2》

深川:10分間があっという間に過ぎてびっくりしました。美術館に行っても、10分間と時間を決めて見ることはあまりないので、作品をじっくりと体験させていただいた感じがします。

QUI:どんなことを感じましたか?

深川:この作品を見て、最初になぜか「懐かしい」と感じたんです。例えば、絵の周りに余白が取られているところが、自分の記憶を思い出している感覚とか、ゲームや映画の回想シーンに近い感じがしました。

画面が少しぼやっとしていて、景色のようだけれど何が描かれているのかはっきりわからないし、遠くから見たものか近寄って見たものなのかも分からない…その“わからなさ”から想像が膨らみますね。

それに、筆の跡がこの距離でもわかるくらい残っている感じが素敵だなと思いました。人の手が感じられる部分にも、温かみや懐かしさを感じたのかなと思います。

山田千尋《x #3》(部分)

「わからない」から記憶をたどる。作品から生まれた短い物語。

次は、作品から感じたことをもとに、短い文章を紡ぐワーク。これは、見る人自身の解釈によって作品の世界を広げていく試みです。

深川さんは、山田千尋さんの作品を見て浮かんだ「懐かしさ」や「夢の中」という感覚から、ひとつの短い物語をつくりました。

『日曜日の昼下がり、窓を開けたまま昼寝をしていたら、久しぶりに夢を見た。あぁこの場所はなんだっけ。秘密基地、好きだったおもちゃ、家族でした花火、水を張ったバケツ、目が覚めた。小学生ぐらいの時の記憶。久しぶりに実家に帰ろうかなぁ。』

深川:やっぱり、懐かしさとか温かさとか、夢を見ているような感覚がしたんです。何が描かれているのかはっきりとは分からないから、自分の中の記憶をたどって思い出していくと、すごく懐かしい感じがして、その温かさが、昼の風が気持ちいい時に見る夢のような感覚に繋がると思って、この文章をつくりました。

QUI:アウトプット鑑賞の中で出てきた言葉が、深川さんによって、ひとつの物語として組み立てられましたね。

深川:自分で文章を書くのって「合っているのかな?」とか「大丈夫かな?」という不安もありました。でも実際に作品を拝見したらすごく想像が膨らんで。自分がアウトプットした言葉をつなげていったら、意外と文章が浮かんでくるんだなというのが新鮮な驚きでした。作品を観る時って、つい「答え」が知りたくなってしまうんですが、わからないままの面白さもあるんですね。

あと、普段の仕事では、書かれた脚本から想像してお芝居をすることはあるんですけれど、自分で物語を作るのは本当に小学校以来で、すごくワクワクしました。

― Profile _ 山田千尋(やまだ・ちひろ)/Gallery Nomart

1994年京都府生まれ。通常目を向けられることのない歪なモチーフ(例えば傷口のディティールや動物の遺骸)や記憶の中にある風景などを、軽やかな色彩と透き通るような質感を感じさせる筆跡で描く画家、山田千尋。山田の描く常識的なものの見方、捉え方に一石を投じるかのような絵画は、その視点のユニークさだけでなく、物事をあらゆる角度から偏見なく捉え、かけがえのないものへと昇華する彼女の思考そのものと合わせて、多くの共感を得ている。2016年京都市立芸術大学美術学部美術科油画専攻卒業。同年アンタルヤ国際アートシンポジウム(トルコ)に参加。主な展示に、「SF」(個展 / ギャラリーノマル、大阪、2026年)、「LET’S GET BACK」(個展 / 国登録有形文化財 旧上田家住宅、京都、2025年)、「京都府新鋭選抜展 2023」(毎日新聞社賞受賞 京都文化博物館、京都、2023年)、「U30 – Whom do you suspect?」(ギャラリーノマル、大阪、2020年) 、「つなぐ・つながる」(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、京都、2020年)など。

 

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