ART&CULTURE / 2024.10.31
板垣李光⼈個展「愛と渇きと。」INTERVIEW(1/3)
現在、心斎橋PARCOの9F EVENT SPACEで開催されている板垣李光人個展「愛と渇きと。」。板垣さんは俳優として活躍する一方でイラスト制作も手掛け、NFT作品の販売やファンイベントでの作品展示、雑誌とのグッズ製作コラボなども行ってきました。本展ではデジタルイラストと、映画「ブルーピリオド」の撮影を機に取り組むようになった油絵を組み合わせた複合的なキャンバスアートを中心に展開。ご自身にとって初となる今回の個展についてのインタビューをお届けします。
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Interview & TextSemeko Konrinzai
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PhotoNorico Uemura
―初個展の開催をどんな気持ちで迎えられましたか?
板垣李光人:お話をいただいてから1年くらい、構想や作品の流れ、作品そのものについて考えて作ってきたので、ギャラリーに搬入して壁一面に自分の作品がばっと並んでいるのを見たときは、すごく感慨深いものがありました。
―今回の個展は東京、名古屋を経て⼤阪が3会場⽬となりますが、ここまで振り返っていかがでしょうか?
板垣李光人:共演者の方々や関係者の方も来てくださったんですけど、普段の仕事の現場とは違う一面を見ていただけたことや、自分の作品から何かを感じ取ってもらえたことが、すごくありがたいなと思いました。お客さまからいただく作品の感想も、想像もしない角度からの視点だったりするので、自分にはない感性で見ていただいているんだなと思って、とても新鮮です。これまではデジタル上で作品を発表していたので、やっぱり直に作品を見ていただいて、感想をいただくっていうのは、本当に貴重な機会だなと感じています。
―「愛と渇きと。」というタイトルですが、“渇愛”をテーマに選んだ理由というのは?
板垣李光人:アウトプットすることが多い仕事なので、枯れないように、インプットし続けないといけない。でも⾃分にとってそれは義務的なものではなくて、本を読んだりいろいろなものに触れたりっていうのは常⽇頃からしていることのひとつなんですけど。その中で、仏教の⼗⼆因縁という、⼈間が⽣きていく上で苦しみのもととなる12の要素があるものに出合って。そのひとつが、愛なんですね。以前からこれをなにか⾃分の作品のテーマにしたら⾯⽩いだろうなっていうのは思っていたので、今回このお話をいただいて、だったら渇愛というものをテーマにして個展をストーリーのようにつくっていったら⾯⽩いんじゃないかなと。
―仏教が由来だったんですね。今回は新しい手法に取り組もうと思ったきっかけは?
昨年の夏前くらいから、「ブルーピリオド」という映画でずっと絵に触れていて。撮影に入る前から絵画練習をしていたんですね。以前から絵を描いてはいたんですけど、学校に行ったり先生に習ったりはしていなかったので、そこで初めて絵とは、美術とはなんぞやってことを教えていただいて。いろいろな画材にも触れるようになって、今まで自分が独学で描いてきたデジタルの絵と、油絵をうまく組み合わせられたら面白いんじゃないかなって思ったのがひとつですね。それと、今回のテーマである愛と渇きという相対的なものの質感的な表現として、デジタルの無機質さと、絵の具の生々しさがうまく呼応するんじゃないかなと思ったのもひとつです。
―実際に制作されて、新しい発見や気づきはありましたか?
描きながら自分でも楽しいなと思ってはいたんですけど、実際お客さまから、今までに見たことのない手法で面白かった、デジタルと油絵の組み合わせを初めて見たっていうようなお声をいただいて、より可能性を感じたというか。制作の方法として、もっといろいろなことを突き詰めていきたいなと感じました。
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