ー『ひかりの地図』展は、まず鑑賞される方の解釈から多様なイメージを膨らませることができる、そんな可能性が魅力のひとつ、だと思います。あらためてGOMAさんは今回の個展の意義をどう捉えていますか？

GOMA:絵を描き始めたのは（2009年の事故後の）意識が戻ってからなので、こんな人生もあるんだな、と。身を持って学んだのは、いつなにが起こるか分からない、ということ。でも、こういうことになっても再生して、新たな人生を歩むことができる、ということは知って欲しいですね。こんな”ひかり”の世界がある、と。だから誰でも見ておいて損はないと思います。もし、あっちの世界から戻って来られる／来られない、となったときに役に立つかもしれないし。

ー作品である以前に地図である、と。現在、事故のことを振り返ることは？

GOMA:以前は、なぜ（事故に遭ったのが）自分なのか？ あの時、高速道路に乗っていなかったらどうなっていたのか？ とかを考えたりして。もし昔に戻れたら、と思ったりしていましたけど。というのも（事故の直前に）虫の知らせみたいなことはあって。

ーどんな虫の知らせでしょう？

GOMA:事故の日に、娘と車に乗っていたら、胸騒ぎがして家に戻ったんです。そこで娘を下ろして、自分一人でまた車で出て行って、事故に遭った。娘を巻き込まなかったことは不幸中の幸いだけど、得体の知れないザワザワする気持ち、その直感を自分は汲み取れなかった。その直感を信じていたら…とは、いまだに考えたりもします。けれど最近は、絵を描き始めたからこそ、自分が主人公の映画（『フラッシュバックメモリーズ3D』）などができたり、それまで以上に新しい出会いをたくさん頂いている、と考えるようになってきたんですね。

ーでは最後に、絵を描く未来が待っていたことをどう考えています？

GOMA:2018年にアメリカの研究所で初めて、なぜ自分は絵を描くのか？ 自分の脳に何が起こっているのか？が解明されて、気持ちがすっきりして。それからは振り切って絵が描けるようになったんです。自分が50歳になって点描してる、なんて未来は想像できなかったけど、今こうやって展覧会で大阪に来る旅をしている、というのはもう運命としか言いようがないですね。もともと旅は好きだったので。でも、あっちの世界にまで旅をするとは思ってもみなかったけど（笑）