ART&CULTURE / 2022.03.12
Vol.2 山田孝之、阿部進之介、伊藤主税『MIRRORLIAR FILMS』発起人らが集結!クリエイターズ・トークセッションレポート(2/3)
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PhotoYuto Yamamoto
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EditAya Shimada (Roman Naya)
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TextNaohiro Sekido, Takahiro Chiba
―トークセッションの後半は、映画、いけばな、デジタルアートという3つの表現を融合した展覧会『Moments of Life』のビジュアルアーティスト松山周平氏に最先端テクノロジーについて語ってもらいたいと思います。よろしくお願いいたします。
松山:普段は『THINK AND SENSE』という約30人のチームで、モーターショーなど色々な場所でデジタルアートや空間デザインをしています。現在は映画業界でもVFXという分野でプログラミングが良く使われていて、従来の記号の羅列のようなプログラムではなく、直感的に仕組みを作ることができるソフトウェアが現れたり非常に注目度が高くなっています。『MIRRORLIAR FILMS』のOPも『TouchDesigner』というツールを使って作りました。
職業やジャンルに関係なく個性豊かなオムニバスという『MIRRORLIAR FILMS』のフィロソフィーから、白い光が分かれて、様々な色に変化し、最終的に束になってひとつの作品ができているというコンセプトで表現させていただきました。山田さんの楽曲を解析して、曲に合わせてグラフィックがシンクロして動く映像になっております。
伊藤:このソフトウェア自体はパソコンさえあれば使えるんですか?
松山:そうですね。ツール自体も基本的には無料で使えるものなので、パソコンさえあれば。
山田:伊藤さん、パソコン持ってますか?
伊藤:僕は、アナログ人間なもので……。あ、でも最近iPadを買いましたよ(笑)
松山:誰でも映画が撮れる時代のように、僕のチームの若手もYouTubeを見て独学でスキルを身につけている人も多いんですよ。デジタルアートやCGもハードルがすごい下がっている時代なんだなってすごく感じますね。
下京:私自身もYouTubeで勉強して撮影から編集まで自分でやっていて。やってみると、発想とやる気があれば高い機材を買わなくても誰でも作品が作れることを知りました。デジタル技術で表現の幅も広がりますし、ほんとにいい時代に生まれたなって思います。
山田:実際ハリウッドではスマホだけで撮影した映画も公開されてますからね。映画製作の1歩目を踏み出しやすい時代を加味してプロジェクトのキャッチを付けましたよね。
伊藤:松山さんには是非、この技術を広めるために全国を回って欲しいですね。技術を知ればとんでもない才能を発揮するクリエイターも必ず出てきますから。
松山:知っていれば使える技術ですから、なにか力になれることがあればと思っています。
山田:テクノロジーの進化で可能性が本当に広がってますよね。車の運転のシーンを撮影する時はグリーンバックを使ってCGで処理っていうのがポピュラーな方法だったけど、最近はモニター映像のクオリティが上がってるから、車の横に置いて流れている景色を映して直接撮影してしまうっていう……。すごくシンプルになってきていますよね。
松山:バーチャルプロダクションシステムという技術で、実際に去年の紅白でも使用されてましたね。カメラの画角がリアルタイムでトラッキングされて、映像と照明がリアルタイムで全てリンクするようにプログラミングされていて。今とても期待されている技術のひとつですね。
山田:元来ロケってすごいお金がかかるものだったけど、こういったテクノロジーでカバーされていくかもしれないですね。そうなると色々と可能性が広がってきますね。