ART&CULTURE / 2022.03.12
Vol.2 山田孝之、阿部進之介、伊藤主税『MIRRORLIAR FILMS』発起人らが集結!クリエイターズ・トークセッションレポート(3/3)
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PhotoYuto Yamamoto
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EditAya Shimada (Roman Naya)
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TextNaohiro Sekido, Takahiro Chiba
松山:もうひとつ、AIテクノロジーについてウチの大河原の方からお話をさせて頂ければと思います。
大河原:はじめまして。松山と働いております大河原です。早速ですが、皆さんAI技術ってどういった物を想像するでしょうか?
山田:テレビで見たのは、歩き方を解析して90何パーセントの確率で人物を特定するAIを付けた防犯カメラだったりとか。まあ、歩き方を変えるので僕には通用しませんが。
大河原:流石です(笑)。でもまさしく今日紹介するIntelさんのOpenVINOというツールはそれに近いものです。簡単に言うと、ひとつのパソコンでいろいろなAIを最適化された形で活用出来るというものです。
大河原:カメラに映ったものを物体認識技術と呼ばれるもので、以前は撮影後に処理をかけてCGやエフェクトをかけていたんです。でも、このツールはリアルタイムで解析して処理をすることが出来るんですね。
伊藤:例えば、僕を映さないようにプログラムしておけば、画面から消えるってことですか?
大河原:まさにその通りですね。
山田:すごい便利ですね。出演者のみを認識しておけば、ロケで通行中の人に止まってもらって撮影する必要がなくなるってことですもんね。。
伊藤:すごいなあ、いちばん大変な人止めをしなくて済むんだ。
大河原:実際に、去年金沢でシーズン1の上映会を行ったときに人間を分析するAIのインスタレーションを行いました。この技術を使用して以前作成したMVを観ていただきましょう。
大河原:映っている映像にエフェクトをかけること、それ自体は今までにあった技術ですが、テクノロジーの進化によりリアルタイムでエフェクト加工が出来るようになりました。結果として、現場で確認しながら製作を進めることができるようになり、よりクリエイティブの質が向上しました。
下京:もしかしてライブ映像をMVのようにすることも出来るってことですか?
松山:コロナ禍で配信ライブが増えている中で、今後はテクノロジーによる配信ならではの演出などができるようになってくると思います。
山田:ライブと配信、それぞれ差別化した楽しみ方が出来るようになるってことですね。そうなってきたら配信の魅力も今以上に向上しそうですね。
大河原:そうですね。先程天気のお話をしていましたが、こういうテクノロジーが現場に生かされていくようになっていくと天候を自由に変えられたりする未来も遠くない。柔軟に撮影ができれば、より作品の自由度が上がるのではないかと思っています。
山田:撮影の肝は空ですからね。少し日が落ちたり、曇ったりするだけでどれだけいい芝居をしても撮り直しになってしまう。それをカバーできる技術が生まれたらすごい良いですね。いやー、こうなると松山さんに常に現場にいて欲しい。
伊藤:「この天気修正できませんか?」「もう変えてます!」みたいなね(笑)。今は撮影の時、照明の人ってずっと空を確認して、僅かな雲の切れ間で晴れのシーンを忙しなく撮影したりするんですよ。でもこの技術があれば天候の心配もいらないし、余計な考えも減るから作品のクオリティもグッと上がると思いますね。
下京:集中するべきところにだけ集中できるのはありがたいですね。山田さんが言ったカバーっていう言葉が良いなって思っていて、自分が表現したいことをテクノロジーでサポートしてもらえるのはとてもいい環境ですね。可能性が無限大だと感じました!
松山:テクノロジー自体は無色透明なもので、別の表現と混ざって初めて鮮やかな色が出てくるものだと思っています。今回のプロジェクトで映画、そしていけばなと一緒に展示する新しい取り組みにとてもワクワクしています。
・トークセッションの参加者によって‟わたしの好きな大阪”をテーマに写真を募集し、『TouchDesigner』によって作成されたトリビュートムービーが、心斎橋パルコ地下2階「心斎橋ネオン食堂街」に設置されているサイネージで上映されました。