ART&CULTURE / 2022.03.13
Vol.3『MIRRORLIAR FILMS Season2』山田孝之独占インタビュー(2/3)
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PhotoYuto Yamamoto
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EditAya Shimada (Roman Naya)
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TextNaohiro Sekido
―『MIRRORLIAR FILMS』は短編のオムニバス作品ですが、短編の作品を演じる時に大変な事はなんでしょうか?
山田:映画は、まるでその人物が実際に存在するかのようにひとつの世界を作らないといけません。シーズン1、2で安藤組、紀里谷組と短編を立て続けに経験しましたが、15分の脚本ではとても描ききれない、演じる人物の人生を表現する必要があります。これはキャストはもちろん、スタッフも実力が相当試されるので、これからも短編作品には挑戦したいなと改めて感じましたね。
―ひとつのシーズンで9つの作品が上映されますが、作順はどのように決めるんですか?
山田:これ、ものすごく大変な仕事なんですよね。『MIRRORLIAR FILMS』委員会のみんなで話し合って決めるんですけど、今回は割と自分の意見の順番に並んでいます。序盤に阿部ちゃん(阿部進之介監督)の『point』を入れたのは、ロードムービーで起承転結があって見やすいから。こういう動きがある作品を入り口に配置して、徐々に見ている人を引き込んでいくように9本並べました。
―CDのアルバムを作るのと似ているかもしれませんね。
山田:そうですね。僕、曲順を決めるのとかも意外と得意なんですよ。ただ、プロジェクトが始まる時にシーズン1〜4に振り分ける一般公募枠の作品は決まっていたんですけど、他の監督の作品は全くわからない。作品がいざ上がってきてみたら、今回は "いのち”をテーマに作られた作品が多くて面白かったですね。短編は観る方も大変なので、それをどう配置するかにはかなり頭を抱えました。
―詳しくお聞きしてもいいでしょうか。
山田:短編の作品はそもそも情報量が少なく、明確に答えが提示されていない。演者だけじゃなく、観る側もすごく考えて余白を埋めていかないといけないんです。しかもそれが9作品も連続で流れる訳ですから、一度観るだけでは理解しきれないと思うんです。
―実は私もシーズン1を一度観ただけでは、考えても分からなかったところもありました。
山田:でもそれがとても大事なことだと思っていて、答えが示されていないとすごく考えるじゃないですか。考えるということはその時の自分を見つめることになるんです。だから「難しい、わかんない」じゃなくて、何回も見て「こういうことだったのか!」って自分なりの解釈で答えを見つけて欲しいですね。僕はそういう映画が好きだし、1000人が観るより、100人が10回見る映画を作りたいんです。それが結果的に映画シーンのレベルアップに繋がると思っています。
―山田さんは、今の日本の映画シーンをどのように捉えていますか?
山田:映画というものが少し、崇高なものになってしまっていると思いますね。ちょっと買い物に行くくらいの、もっと生活に身近なエンタメでいいじゃないですか。フラっと観てもらって、9本の中からお気に入りの作品なりキャストを見つけて、自分で深堀りしていくような、ひとつ違う映画の楽しみ方をしてもらえたら嬉しいですね。