ART&CULTURE / 2022.09.15
『TAKERU AMANO EXHIBITION "VENUS"』天野タケル インタビュー(2/3)

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Interview & TextYusuke Nakamura
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PhotoKazuki Watanabe

―今回の展示のための新作は30点ほどですが、これらの制作期間はどのくらいでしょう?
天野:半年くらいですね。あらためて考えると、自分は絵を描くことが本当に好きなんですね。それが楽しくてやっているんです。でも自分にとって絵を描くこと、エキシビションをすることは別で。絵一枚だと伝わらないことも、展示では絵が集まることでストーリーに誘える。だから展示はなるべく自分で空間構成を考えています。今回は心斎橋PARCOのスタッフと一緒に、みんなで(設営)したんですが、その楽しさも良かった。そこからアイデアが生まれたり、アートの面白さに気づいてくれる人もいるかもしれないし。

―あらためて、このVENUSのシリーズはすべて細長い目と一文字の口が共通しています。なので見る方は、まず顔を認識しようとする。けれど、しばらく眺めていると、ゲシュタルト崩壊というか、例えば曲線で仕切られた色の海のようにも見えてくるようです。今回は作品のサイズが大きいこともありますが。
天野:分かる。まさに色の海だと言えると思います。でも、ゲシュタルト崩壊した時も美しくないとダメで。もし、顔に見えなくても美しくないと意味がない。良い絵というものは全体のバランスが取れているので、美しいはずなんです。自分としては、そこを目指しているところもありますね。

―VENUSシリーズの作品で決められているルールはあります?
天野:やっぱり決めているのは、可愛いかどうか?です。そこにはもちろん自分の好みも時代性もあります。海外のエキシビションでは時々、なぜ黒髪ばかりなのか?って聞かれることも多いし、黒人は描かないのか? とも言われます。でもVENUSに関してはできるだけメッセージになるようなものを排除したいと考えていますね。自分にとって可愛いかどうか?に徹していて。最近ではチャリティで、ウクライナカラーで描いたんですが、できるだけVENUSからはメッセージを無くしたいと思っていますね。
―スプレーで描かれたVENUSのグラフィティは、アクリルで描かれたVENUS作品のいわばプロトタイプでしょうか?
天野:いや、逆ですね。グラフィティは実験でアクリルからの発展形。これは自分としても新鮮で、VENUSの幅を広げる実験というか。

―VENUSシリーズは、いわばアニメの世界にも寄り過ぎず、そのグラフィティの実験もどっぷりストリートカルチャーとも違う世界観というか。ここに天野さんならではの線引きが確認できるようです。
天野:そこなんですね。自分としての線引きが重要なんです。ストリートアートではないし、アニメにもなっちゃいけないと考えていて。どちらにも寄り過ぎないことは大事にしていて。一見、子どもでも描けそうだけど、どんな角度から見られるのか? そして要るもの、要らないものをこれまでずっと考えてきていて。どんな世界にも寄り過ぎない、いろんな線引きは気を付けているところですね

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