ART&CULTURE / 2022.09.15

『TAKERU AMANO EXHIBITION "VENUS"』天野タケル インタビュー(1/3)

『TAKERU AMANO EXHIBITION

現在、PARCO GALLERYで開催中の画家・彫刻家の天野タケルの展覧会『TAKERU AMANO EXHIBITION "VENUS"』。今回の個展ではイエローを背景とした約30点の大阪初公開の最新作を軸に、会場の中心には2体の黄金のVENUS立体作品が。加えて「実験」的グラフィティも。そして、拡大する“女神”のさまざまな現在形が披露されている。このシリーズVENUSについて、そしてその進化とは? 会場にて天野タケルさんにお聞きしましょう。

  • Interview & Text
    Yusuke Nakamura
  • Photo
    Kazuki Watanabe

―今回の『VENUS』展ですが、まずこのVENUSシリーズのコンセプトとはどのようなものでしょう?


天野:簡単に言うと、自分が可愛いと思うもの、綺麗なものを描いている、ということなんですね。その“可愛いものは”なにか? 理想のVENUSとは?をずっと研究をしているとも言える。VENUSは女神なので、大げさですが阿弥陀菩薩のようなものだとも考えていて。毎回うまく描けたと思っても、終わりがないんですけどね。


―VENUSを生み出した30代の初めからずっと探求されているわけですね。


天野:そうですね。(個展の度に)完璧、と思うんですけどね。全力で命をかけて描いているんですけど、次はこんな風に描いてみたい、という欲求が出てくる。その繰り返しで。だから(PARCO GALLERYでの個展が)今の到達点でベスト。

―最新作が最高作?


天野:最新が最良。ポルシェと同じです(笑)。もちろん過去の作品があっての積み上げなんですけどね。


―今回の展示は、先月まで開催されていた渋谷のPARCO MUSEUM TOKYOからの巡回、ではなく描き下ろしの新作がメイン。しかも大型作品が軸で、150号の作品が4点あります。


天野:そうなんです。気合いを感じてもらえたら嬉しいけど。絵はどんどん大きくなっていますね。その反動で小さい絵も描かないと、と思ってるくらい。(サイズが大きいと)ディティールにこだわれることもあって。大きいと展示も移動も大変なんですが、みんなが大事にしてくれるかな?という気持ちもあって。でも、これからもっと大きくなるかもしれない。狭いアトリエなので、今はこれがギリギリ(笑)

―今回の個展では平面作品のみならず、ブロンズと真鍮、2つのゴールドの立体作品が会場の中央で輝いています。いわばVENUSの涅槃(ねはん)像?


天野:僕はもともと彫刻をやりたくて。これらは(VENUSが)絵から飛び出した、と。ほんとは全部、金で作りたかったんですけどね(笑)。予算がかかり過ぎるので。この2作品も毎日、鏡面磨きを施しているんですが、本当にピカピカにするなら、プロのポリッシャーでも1年はかかるらしいです。