OTHER / 2022.02.18
Vol1.佐藤浩市・山田孝之出演『MIRRORLIAR FILMS Season2』舞台挨拶レポート(1/2)
「だれでも映画を撮れる時代の幕が開く」をコンセプトに2020年から始動した『MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)』。
2/18(金)からのシーズン2の公開に先立ち、2/15(火)心斎橋PARCO 14F「SPACE14」にて先行上映舞台挨拶が行われた。大阪をロケ地とした2作品『インペリアル大阪堂島出入橋』の三島有紀子監督と主演の佐藤浩市氏、『The Little Star』のキャストでもあり、プロジェクトの発起人のひとりでもある山田孝之氏が登壇。さらに、日本華道界の根源「池坊」時期家元の池坊専好氏、最新技術を駆使したプロジェクトを展開する「THINK AND SENSE」より松山周平氏がスペシャルゲストとして登場。「映画×いけばな×最新テクノロジー」という他にはないインスタレーションが実現する『Moments of Life いけばな×映画×アートが融合する時空間ミュージアム』の開催が同時に発表された。(『Moments of Life いけばな×映画×アートが融合する時空間ミュージアム』は3月1日(火)をもちまして終了いたしました。)
映画『MIRRORLIAR FILMS Season2』は2月18日(金)公開。
心斎橋PARCO12Fの「シアタス心斎橋」にて上映されました。
※本記事は全3部構成のうち、『MIRRORLIAR FILMS Season2』先行上映舞台挨拶・京都展覧会『Moments of Life いけばな×映画×アートが融合する時空間ミュージアム』発表編です。
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PhotoYuto Yamamoto
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Text&EditNaohiro SekidoAya Shimada
ー来る2月18日(金)から『MIRRORLIAR FILMS Season2』の公開を迎える今のお気持ちはいかがでしょうか?
三島:今回、大阪は堂島が舞台となる『インペリアル堂島出入橋』という作品を上映させていただけることになりました。わたしの監督人生で初めて、生まれ故郷で作品を作りました。私小説のような映画になっておりますので、ぜひ楽しんでいただけますと嬉しいです。
佐藤:3年ほど前に、俳優の原田茂雄さんのお宅で三島監督にお会いして。「映画を撮るなら声をかけてよ」と、話をしたことがご縁となり、この作品への出演が決まりました。自分自身がなかなか良い緊張感で演技ができたことはもちろんですが、作品から映画以外の表現にも繋がるということで、僕ら映画の人間も二次的に楽しめるとても面白い機会だと思っています。
ー『The Little Star』にご出演の山田孝之さんはいかがでしょうか。
山田:実は「二度とアクションはしない」と、心のなかで決めていたんですよ。でも、いつも壮大な世界観で作品を作られる紀里谷和明監督の作品ならと、身体を張って頑張りました。僕の役者人生最後のアクションシーンということでいろんな方に見ていただきたいですね。あとは、松本まりかさんとは21年ぶりの共演だったんですが、脚本にセリフがなく、その場で凄まじいライブセッションのような演技が出来たと思います。「実は山田孝之って意外といい俳優なんじゃないか?」と、みなさんに気がついてもらえるんじゃないかと期待しています。
ーありがとうございます(笑)。三島監督は『インペリアル大阪堂島出入橋』はどのように作品作りを始められたのでしょうか?
三島:この映画は、現在施設にいる母が言った「インペリアルのレストランのハンバーグが食べたい」の一言から始まりました。では久しぶりに行ってみるか……と、出入橋のふもとにあるお店に向かったところ、中はがらんどう。一昨年に閉店になったという張り紙がありました。ちょうど、店主が幼馴染だったのですぐ連絡して聞いたところ「閉店した」と、聞かされました。「母親がどうしてもハンバーグを食べたいって言ってんねん」と伝えたら、「大丈夫や、デミグラスソースは今も作り続けてる」そう幼馴染が言ってくれたんです。その言葉を聞いた時に、わたしは本当に、コロナ渦でいろんなことを失っていく中で、小さな光のようなものに触れた気がしました。
ーお母様への思いが作品作りの起こりだったんですね。
三島:それで、どうしてもインペリアルというお店が無くなる前に、壊される前に、映画にしなくてはと思って制作をスタートしました。作品では、インペリアルから北新地本通り、およそ800メートルを歩くなかで、1人の男の人生が見えるという構成を考えまして。時間にして11分を超える、無謀とも言える長回しに挑戦をしました。とても難しい役なので、これは、佐藤浩市さんにしか出来ないだろうと思ったところ、ふと原田芳雄さんのお宅でお話したことを思い出してオファーさせていただきました。「難しい演技ですよ」とお伝えしたのですが、快く引き受けていただきました。
ー佐藤さん、11分超の長回しはいかがでしたか。
佐藤:あの、上映前にあれがスゴい、ここがスゴいと自分たちで言ってしまうとハードルが上がってしまうので、あまり言いたくないのですが……。
山田:僕、めっちゃ言っちゃったんですけど。
佐藤:山田くん、そんなに言っていいんかなあって思って聞いてたよ。
(一同笑い)
佐藤:上映前にどのくらいまで話していいのかというのはありますけども、撮影裏話として監督が長回しをする時に、「明け方4時10分の光でどうしても撮りたい」と伝えられて。「これは一発勝負か」と、気合を入れて1日目、撮影にチャレンジした時に監督がカットをかけなかったんですね。「これはOK出たか!」と思ったら「明日もう1回やらせてもらえませんか」そう言われたんです。
©︎2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT
ーなんと……。
佐藤:正直キツイなあ、という気持ちもあるわけで……。でも、妥協なく2日間やったことがこの映画に全部映っています。敢えて自分でハードルを上げます。そう思って楽しみに観てください。
ースペシャルゲストのお二人は、映画をご覧になっていかがでしたか?
池坊:ショートフィルムならではの生々しさというものが凝縮されている気がしました。生きるということは不安、喜び、悲しみ……と、こころが動くことで成り立つと思っています。是非、ひとりひとりが自分のこころに従って、それぞれの解釈をしていただき、自分のこころが動く感覚を感じて頂ければと思います。
松山:どの作品ももう一度観たいというのが率直な感想です。池坊さんも仰ったように、人それぞれの解釈があると思います。答えが用意された一方的な娯楽表現として楽しむのではなく、能動的に自分から作品を捉えて楽しむということが今作の特徴的かつ、文化的なことであると思います。そういうショートフィルムの余白の良さが全体に入っている作品だと感じました。