ー他に続けられている理由はなにかあります？

中村：僕の絵を見て、センスがあるとか、オシャレとか、色遣いが良いとか、そう形容されることもよくあったんですが、それはつまり現代的だということですよね。ある時から、その要素をひとつずつ潰していこう、と。現代的ということは５年後には通用しないということで。それで色を原色に変えていったんですね。オシャレな色を廃止して、小学生が最初に使う色鉛筆の色しか使わない、と。

ートレンドに寄らないように、と。

中村：そうですね。オシャレで現代的な色遣いではなくなっても、ニーズがあるとするなら、絵自体が強くなっているというか、作品の筋力が付いている証拠だと思ったんです。描き込みもそうで。もっと丁寧に、もっと丁寧に、というのはずっと考えています。

ー丁寧に手描きを続ける、と。

中村：こういった描線は今ならパソコンのベジェ曲線でやった方が早いですよね。でも手描きを続けることが自分の武器になっているというか、そこに作家性が出てくると思うし。よく見ると線が微妙にガタガタしていたりしますが、それも自分らしさだと考えていますね。

ー手描きが武器になるとは、ですね。

中村：年々しんどくなってきていますよ。体力的に。だからバンドもラジオもエッセイを書くことも休止していて、今は絵だけに集中しています。本当はラジオの編集も好きだからやりたいけど、今は余裕がないですね。若い頃は寝ないでも大丈夫だったんですけど。今は寝ないと心臓がザワつきます（笑）。

ーそういえば、中村さんは心斎橋PARCOといろいろご縁がありますよね。

中村：ゴジラ・ストア Osakaだったり、CAPCOM STORE OSAKAさんで『逆転裁判』シリーズ20周年の絵を描かせてもらったり。なにかとご縁があるんです。だから今45歳ですけど、55歳でもここで展覧会がさせてもらえたら嬉しいです。それまで健康に頑張りますので。また10年後に。

イラストレーター中村佑介カレンダー原画展『中村佑介 SPLIT!』

・会期：2023年11月17日(金)～2024年1月8日(月)

・営業時間：10:00～20:00

※入場は閉場の30分前まで
※12/31(日)は10:00～18:00、1/1(月)は終日休館です。

・入場料：500円(グッズ付き800円)

※物販コーナーは入場無料

・展覧会公式サイト