FASHION / 2023.05.04
FACETASMデザイナー 落合宏理インタビュー(2/3)
日本を代表するブランド「FACETASM」のデザイナーであり、2021年よりスタートしたファミリーマートのオリジナル「コンビニエンスウェア」の監修を務める落合宏理氏。落合氏と大阪はあまり紐づかない気がするけれど、実は20年以上前から大阪には馴染みがあったという。BOREDOMSのEYƎ氏とFACETASMのカプセルコレクションのリリース前日、心斎橋PARCO店に訪れた落合氏にファセッタズムをはじめとしたクリエイション、そして大阪のことを聞きました。
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Interview & TextMasashi Katsuma
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PhotoShimpei Hanawa
—コロナがはじまり早くも3年が経ちましたが、クリエイションの考え⽅にどんな変化がありましたか?
落合:僕にとってのコロナ禍は、新たなクリエイションのチャレンジだという気持ちでいましたね。どういうことかというと、どのブランドもショー形式のコレクション発表ができなくなり、パリコレクションでもビッグメゾンから⼩さなブランドまで、すべて動画での発表になった。YouTubeをはじめとしたプラットフォームでの配信になるわけですが、そうなるとこれまで環境⾳とされてきた⾳楽の著作権問題が出てきます。そしたら⾳楽から作らなきゃいけない。これまでの常識が覆されるなか、『FACETASM』として、クリエイターとしては、ファッションだけに限らず新しいムーブメントが起こるんじゃないか?という漠然とした期待みたいなものはありました。コロナというのは決してポジティブに捉えてはいけないけれども、僕たちとしては“新しいスタート”として捉えていましたね。
—海外はもちろん、国内においてもこれまでのような移動や外出がしづらくなりました。
落合:そんな時期だからこそ、排気ガスの無い東京の空、普段は満⾞のプリンスホテルの地下駐⾞場に⼀台も停まっていない光景であったり、⽬に映るものが異質というか新鮮に感じたりすることもできましたしね。そういった物事からも、⼤なり⼩なりクリエイションは⽣まれる。我々クリエイターが、⾒ていただいたひとの⼼を動かすことができなかったら、コロナに負けたことになってしまうので。デザイナーとしてはそんな意識でした。
—落合さんが監修されるファミリーマートのオリジナル「コンビニエンスウェア」もコロナ禍のなかスタートしましたね。
落合:プロジェクトのキックオフ⾃体はコロナの少し前になりますが、24時間、近所で買えるもので、年齢や性別関係なく⾒てもらえるもの。コロナ禍でも季節を感じてもらえる⾊であったり、⼿にとったひとに安⼼してもらえるようなクリエイションをして。ファセッタズムとは全く違う発想ではあるけれど、同じ熱量でクリエイションしています。
—発表当初は、意外なコラボレーションに驚いたとひとも多いと思います。
落合:ヴァージル・アブローもエビアンやイケアとコラボレーションしていたように、以前から⽇本のブランドのデザイナーも⼤きな企業と⼀緒に、様々な⽅へ向けたクリエイションを⾒せることも必要じゃないか、と思っていたので、⾃分としてはすごくやってみたかったことでした。北海道から沖縄まで、それこそ僕のことを知ってもらっているひとにも、もちろん僕のことを知らないお年寄りにも⾒ていただけることって、なかなか無いですし。さきほども⾔ったように四季を感じてもらったり、いまだとレインボーカラーのソックスがリリースされていて、例えば少しでもLGBTQのことを知ってもらえるようなきっかけになれば嬉しいですね。
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