ART&CULTURE / 2021.11.28
「RE:CULTURE もう一度、パルコ。」心斎橋PARCOの1周年イベントに潜入!〜アートに触れて、明日からも刺激的な毎日を!編〜(3/4)
心斎橋PARCOは、11月20日に開業から1周年を迎えました!「Re:Culture もう一度、パルコ。」の周年キャッチコピーを掲げ、オープン当初のテーマ「コロナ禍の時代のだからこそ、“こだわり”、“彩り”のある〈モノ〉や〈コト〉、感性を刺激する〈アート/カルチャー〉を大切にし、表現していく。」に再度立ち戻り、 大阪・心斎橋を盛り上げていくべく、全館一体となって1周年キャンペーンを開催中。
そこで今回は、記念すべき1周年の門出にふさわしい、刺激的なアートイベントをご紹介。気鋭アーティストによる新作や世界を席巻した大人気展まで。それぞれの魅力に迫ってみました!
-
PhotoKazuki Watanabe
-
Text&EditKento Onishi
「P.O.N.D. mini」※4F/11月30日(火)まで
4Fのコワーキングスペースに併設されたSkiiMa Galleryには、渋谷パルコにて10日間で5000人を動員した、あたらしいカルチャーの祭典「P.O.N.D.」の出張版「P.O.N.D.mini~パルコで出会う、まだわからない世界~」が開催されています。渋谷の展示会場から、今回のギャラリーでの展示にふさわしい気鋭のクリエイター5名が参加。前身イベント「シブカル祭。」のフィロソフィー「あたらしい才能の発見と応援」が引き継がれた「P.O.N.D.」には、常に新しい次元を切り開いていくイベントでありたいという想いが込められています。今回参加している若きクリエイターたちは、作品にどんな想いを作品に込めたのでしょう?ひとりひとり、今後の展望と合わせて伺ってみました
■沼田侑香さん(現代アーティスト)
Profile/1992年、千葉県出身。東京芸術大学美術研究科絵画を専攻し現在も在籍中。2019年石橋財団奨学金奨学生に選出されウィーン美術アカデミーに留学。VRやAR、3DCGなどのバーチャル空間の拡張による変化をインスタレーションやアイロンビーズなどで表現している。
展示作品「free way cola を持つ手」について
ドイツ人の友達が「これ、本物のコーラの味がするんだよ」って教えてくれたんですね。彼にとっての本物のコーラが何なのか。そもそも味覚などの感覚って共有しにくいし伝えることが難しいなと思って、その時の共感のズレを視覚的に見せられたらと、制作しました。人工芝を使っているのも、本物と偽物のあいまいさにも通じるかなって。
ギャラリーって都心から少し離れたところにあることが多いので、作家としては商業施設の中にギャラリーがあり、買い物や食事と合わせて気軽に作品を見ていただけることがとても新鮮で嬉しいです。なので、今後も商業施設で展示する機会が増えたり、海外に出品したりとより多くの人に見ていただけるように作り続けたいなと思っています。
■ayaka endoさん(フォトグラファー)
Profile/東京藝術大学大学院美術学部デザイン科修了。2021年7月に初の個展を開催。自然における人為の介入をデジタル加工で模し、アニミズム的な自然観をテーマに写真作品を制作している。
私は自然物をテーマに撮ることが多くて、布に写真をプリントするシリーズを作ることが多いです。今回は、チューリップを大きな布にプリントすることで、かよわいイメージのある花が強くて怖いイメージに見えたり、人それぞれの捉え方に変わる非日常な視点を体験してもらえたらと作りました。
今後の展望について
動物や花が好きで、自然物が好きなので撮り続けつつ。布などのマテリアル感にも関心があるので、今後は幅広いマテリアルで作品を作れたらと思っています。
■Hana Watanabeさん(映像作家、ビジュアルアーティスト)
Profile/1999年生まれ。東京を拠点に活動中で、姉妹オーディオビジュアルのtamanaramenメンバー。個人に内在する寂しさや都市の孤独にフォーカスした作品を制作している。
夏に顎関節症になって、病院にいくとどうやらストレスからきているそうで、親しい人から精神的に追い詰められていたことが原因でした。同時期に、社会的な事件に巻き込まれた知人がいて、その子が絶対的に痛いものを持ってるんだけど、私はその痛みを引き受けられないし抱きしめられない。どうしたらいいんだろうと考えたりしていた時に、自分の痛みと誰かの痛みとの接点はないものかと作ってみた作品です。同時に、知人に直接は言えないけど、大丈夫だと伝えたいなと、いう想いを込めて。伝わらなくてもいいんですけどね。
今後の展望について
今回の展示もそうですが、関西で初めて展示ができたことで、関西の人たちにも見ていただくことができます。今後もいろんなところで作品を見ていただける機会をつくれたらいいなと思っています。
■菊池虎十(アーティスト)
Profile/1998年生まれ。東京藝術大学美術学部工芸科染織専攻在籍。布に伝統的な染色技法である友禅染を用いて染色し、そのモチーフを変形させることにより、空気を纏い、空間を装飾する作品を制作している。
母親がテキスタイルに携わっていることから、布切れが常にある家庭で育ったので布への愛着が強くて学校でも千ん食を学んでいます。今回は、普段見ている人の気配だったり植物など、断定できない存在を布に染色し展示空間に引き伸ばして貼り、見えない空気を纏わせて可視化することで、ここにしかない付加価値をつけることをテーマに制作しました。
今後の展望について
これからも布を使って、いろんな空間で展示をしてみたいなと思っています。街の中や廃墟、遊園地や駅など、それぞれの場所によって引き延ばし方が変わり、見え方も変化すると思うので。もともと人を着飾るために生まれた染色という技法を使って、布の表現や工芸の面白さを伝えていきたいです。
■田嶋周造(アーティスト、ミュージシャン)
Profile/2021年、武蔵野美術大学油絵学科卒業。2018年、CAF賞審査員賞受賞。主に絵画を中心に、インスタレーション、映像も制作。ヒップホップユニット「PICNIC YOU」のラッパー/ビートメイカーとして音楽活動も行なっている。
スマートフォンのカメラがどんどん進化していて、撮った写真を見ると全てにピントが合っているんですね。あれってカメラの視覚で、現実を正確に写しとるために発達したものだけど、実際は精度や技術が上がるほど人間が見ているものとはかけ離れていってるんです。全部にピントが合っていいて同じ解像度で、光が全てに当たっていることに、不気味さを覚えます。人間は優先順を与えて、意識が集中して周りをぼかしたりするので、その人間の機能や認知が弱まったり外れた時、世界は限りなくテレビの砂嵐みたいなノイズに近づくのではないかと。前後がなくなり、歴史や意味の前後もなくなり、全部が同じ解像度になっていくのでは。そういうことをやりたくて描きました。
今後の展望について
大学の卒業制作で映像を使った表現をしてみたりと、今後はあまり絵画にこだわらず、別のメディアも使った表現にも取り組んでみたいなと思います。
コワーキングスペースに併設で、無料で楽しめる本展。未来のアートシーンを担う気鋭クリエイターたちので作品を、ぜひ直に体験してみてください!
■P.O.N.D. mini
期間:開催中~2021年11月30日(火)
会場:4F/SkiiMa Gallery(SkiiMa SHINSAIBASHI 内)
料金:無料
主催:「P.O.N.D」実行委員会
詳細はこちら